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インディアンフルートについて

インディアンフルートについてのご説明

インディアンフルートとは

flute player一般にインディアン・フルートと言えば北米のコロンビア台地、平原、森林地帯に住む部族の間で使われていたレッドシダー(アカスギの一種)で出来た縦笛を指します。南部の砂漠地帯に住むホピなどの部族ではアシ笛も使われていましたが、これはメキシコ・インディアン文化の影響だと言われています。

穴の数は普通5つか6つですが7つのものも使われたようです。素朴で暖かいインディアン・フルートの音色には、一度聞いたら忘れられない神秘的な響きがあります。ラコタ族のフルート奏者,ケビン・ロックはこう表現しています。

「スー・インディアンにとってフルートの音色は正に「命の風」を意味しているんだ。それは北部平原にヒバリが戻ってくる時に吹く、、春最初の風のエッセンスなんだよ。フルートの音は美しい母なる大地の声でもある。風は野山の草や葉をそよがせ、丘や山をかすめ、湖や小川の表面をかすめて行く。そんな風の音がフルートの音色なんだよ。」

 

恋のフルート

インディアン・フルートはラブ・フルートとも呼ばれ、その昔、平原インディアン部族の間では求愛の時に使われていました。夜、野営地はずれの木陰から自分の愛する女性が寝ているティピーに向かって笛を吹く若者の物語りは数多く伝えられています。演奏する曲はその女性だけのために作られたものでなくてはならず、先に歌が作られ、それを フルートで演奏するというものでした。

若者自身や親族が作曲する事もありましたが、多くはエルク(北米大陸に生息しているオオジカ)ソサエティーと呼ばれる組織に所属するメディスンマン(霊的な力を使う祈祷師)に頼んだと言われています。シカというのは秋の繁殖期になると強いオスが何頭ものメスを独占しハレムを作ります。この雄ジカのパワーを持っているエルク・メディスンマンの呪術の力を借りて、思いを寄せる彼女の心を射止めようと言うわけです。

 

フルート伝説

インディアンフルートはいくつもの部族の間に受け継がれていましたが、それぞれの部族にフルートの起源に関する独自の伝説があります。これはラコタ族に伝わる伝説です。

昔、人々がまだバイソンを狩って生活していた頃のこと。獲物が大変少ない年があり、人々はいつもお腹をすかせていました。そこで一人の若者が斥候として獲物を探しに出かけることになりました。

若者は弓矢、モカシン、乾し肉をたずさえるとキャンプを後にしましたが、四日四晩歩き回っても獲物となるバイソンは見つかりません。疲れはてた若者は川の縁で居眠りをし始めました。すると、どこからともなく今までに聴いたことがないような心地良い音色が聞こえて来るではありませんか。

不思議に思った若者は音の正体を確かめようと、それが聞こえてくる方へと歩き出しました。川を越え、丘を越え若者が見つけたものは一本の大きな杉の枯れ木でした。

この杉の木は芯をシロアリに食べられ、枝にはキツツキのあけた穴がいくつも空いていました。そして、そこに風が吹くとヒューヒューとそれは美しい音を立てるのでした。 驚いた若者は、これは偉大なる精霊 (カミ)が遣わされた贈り物に違いないと思いました。

感謝の祈りを捧げた後、彼はその枝をキャンプに持ち帰り人々に紹介したと言われ、これがフルートの起源だと伝えられています。

 

ケビン・ロックの功績

kevin locke今ではネイティブアメリカン音楽を象徴するようなインディアンフルートですが、ひと時は吹き手も作り手もほとんどいなくなり、正に絶滅危惧寸前の伝統文化でした。

70年代、そんな状況下でこの伝統文化を引き継いで行ったのが、ケヴィン・ロック(ハンクパパ・スー)、ドク・ネヴァカヤ(コマンチ)、トム・マチャティ・ウェア(カイオア・コマンチ)でした。

ケビンがこんな逸話を話してくれたことがあります。

 

ある時、20代の時だったかな。初めてローズバッドに住むリチャード・フールブルという古老の吹くインディアンフルートを聴いたんだ。その素晴らしい音色にいたく感動して、演奏後、彼に話しかけた。こんな素晴らしい楽器を演奏する人は他にもいるんですか?って訊いてみた。すると彼からはこう言ったんだ。

「今じゃ自分の息子も孫も、誰もこんなもんに興味を示さないよ。じゃあ、誰が受け継ぐんだって??。。。う〜ん、お前はどうかね?お前がやるんだよ。」

 

まさかその時は自分がフルート文化を担う存在になるとは思ってもみなかったそうですが、古老は既に彼の使命を見抜いていたのかも知れません。

その後、フルート文化をインディアンの遺産として残さなくてはならないという使命に駆られたケヴィン・ロックは、まだ健在だったリチャード・フールブル、ダン・レッドバッファローといった数少ないフルート作りの古老を足しげく尋ねます。

また、古い伝統歌曲を数多く知っているシンガーであるジョン・コルホフ、ベン・ブラックベアー、ビル・ブラックランスといった人達(全て故人)を訪ね歩き、部族に伝わるラブソングの数々を録音することによって消え行く文化を記録して行ったのでした。これらの貴重な伝統曲はケヴィンのCD「love songs of the lakota」で聞くことが出来ます。

ちなみにビル・ブラックランス氏は僕が84年にローズバッド・スー居留地にいた頃にはまだ健在で、何度か同じドラムに座らせて頂いたことがあります。これも今となっては懐かしく貴重な経験でした。

 

南部平原のフルート奏者

同じ頃、南部平原で地道な活動をしていたのがドク・ネヴァカヤとトム・マチェティです。1976年にネヴァカヤはインディアンフルートの音楽としては始めてのレコード「Indian Flute Songs from Comanche Land」を録音しました。まさに今のインディアンフルート音楽界の草分けといったところでしょうか。

トム・マチェティのお父さんも部族内では有名なフルート奏者だったそうで、そのレパートリーの数々は親から子へと受け継がれており、彼のCD「Flute Songs of the Kiowa & Comanche 」で聴く事が出来ます。

同じ伝統的スタイルでも、ケヴィンのスタイルとトムのスタイルとの違いがお聴きになると良く分かると思います。これは奏者個人の歌に対する解釈の違いもあるでしょうし、部族としてのスタイルの違いもあるかと思われます。

マチェティの音を聴いて一番感じるのは、やはりその素朴さ、純朴さです。聴いているとインディアンの人々が古き良き時代の生活を謳歌していた頃にタイムスリップするような気分になります。インディアンフルートの原点はマチェティとケビンの初期のCDで聴ける音なのです。

この3人の努力のお陰でインディアンフルート音楽は生き残り、次世代の奏者であるカルロス・ナカイやロバート・ツリー・コディーといったプレーヤーの活躍する地盤を築くことになります。

 

インディアンフルートの今

80年代中頃になるとインディアンフルート音楽は独奏のみの伝統的スタイルから、より現代的なサウンドに発展して行きます。新しい曲が作られ、シンセサイザーやリズム楽器を始めとする他の楽器や違うジャンルの音楽家との共演も行われるようになりました。

carlos nakai特にカルロス・ナカイはこのスタイルを確立した人で、自らジャズ・アンサンブル・バンドを率いたり、オーケストラと共演したり、他民族音楽と共演したりと、とても実験的な試みを絶えず行っています。そのCDの発売枚数にはただ驚かされます。インディアンフルート音楽の枠を広げていった功績は大きいでしょう。抑揚が少なくスムーズな演奏スタイルは、その後のフルート奏者の手本となっています。

彼以降に登場したのがロバート・ミラバル、アンドリュー・バスケス、ジョセフ・ファイヤークロウといった人達で、ロックなどのサウンドを取り入れ自らの音を追及しています。

メリー・ヤングブラッド(アリュート/セミノール)のような女性フルート奏者が登場して来たのもごく最近の事です。元々、インディアンの伝統では女性がフルート演奏するのはタブーでしたが、時代の流れにより今では女性フルート奏者も何人か登場しています。

勿論、ネイティブではないフルート奏者も数多く登場しています。コヨーテオールドマンはその代表的な例で、ニューエイジ音楽にインディアンフルート・サウンドを見事に取り入れました。

また、インディアンフルート音楽の人気が高まると同調して商業ベースとしてのフルート製作も盛んになり出しました。アースロッジのフルートであるエイモン・オロリン工房のケニー・ライトは85年年頃からフルート奏者のトニー・シェラーの影響で本格的にフルート製作に取りかかり、その後カルロス・ナカイと協力して楽器開発やクリニックなどを行っています。

他の多くの白人フルート・メーカーが切磋琢磨して楽器としての水準を引き上げてくれた功績はインディアンフルート音楽の発展にとって大変に大きいものだと思います。このようなインディアンフルートを取り巻く流れがあって、今、私達日本人も魅力的なインディアンフルートの音色を楽しむ事が出来ているのです。

 

インディアンフルートFAQ

インディアン・フルートって音は簡単に出るのですか?

音の出方は小学校の時に吹いたリコーダーと同じです。ですから誰でも簡単に音を出すことが出来ます。音の細かい調整、ニュアンスなどは練習で体得しましょう。

どうやって練習したら良いんでしょうか?楽譜や教則本などはあるんでしょうか?

押さえる穴は5つか6つしかありませんので指使いもそれ程複雑ではありません。インディアン・フルートCDから自分の好きな曲を選び、繰り返し何度も聞いて耳でまずメロディーを覚えてください。譜面の読める人は採譜しても良いでしょう。 注意しなくてはいけないのは、同じ楽器で演奏されている訳ではないのでCDを聴きながら合わせようとしても、全く同じようには演奏できないということです。つまりCDで演奏されているフルートのドはあなたのフルートのミかもソかも知れないのです。
音のニュアンス、処理の仕方なども聞き逃さないようにしましょう。

音域はどのぐらいですか?

1オクターブちょっとぐらいです。楽器のチューニングによって多少の違いは出てきます。

指使いは、どの楽器も同じなのでしょうか?

フルートの穴は5、または6つですが、作り手によって運指が違うことが良くあります。例えば、アースロッジで扱っているエイモンオロリン製とハヴィランド製では運指が違うのです。ですから、違ったフルートを複数演奏される時には混乱も生じます。これは慣れるしかありません。

他の楽器との合奏も出来ますか?

インディアン・フルートは非常に単純な楽器ですから複雑な音楽を演奏することはできません。ですが限られたハーモニーの中で他の楽器が合わせるといったことは可能です。いろいろな楽器との可能性を試すのも音楽の楽しみです。 CDで聴けるようにピアノやギターなどのハーモニー楽器とも合いますが、インディアンフルートのチューニングは西洋楽器のように正確なものではありません。中には合うものもあるでしょうが、基本的に100%のチューニングは期待しないで下さい。ある意味、若干の狂いがあるのがインディアンフルートらしい音世界を生んでいるとも言えるでしょう。

楽器のメンテナンス(手入れ)は?

特にすることはありません。演奏後は内部に付いた水気を切るために陰干しするぐらいです。スギは湿気に強いので、僕の経験ではカビも生えたことはありません。ただ直射日光に長時間あてるのは避けてください。必要以上、材質の温度を上げることは劣化につながります。 フルートはデリケートな楽器ですので大切に保管しましょう。付属の布ケースはあくまで最小限のプロテクションのみ。専用のハードケースに入れて管理することをお勧めします。

 

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